【本紹介】本好きにはたまらない一冊!『図書館のお夜食』のあらすじと考察

 今回は,ポプラ社から出版されている原田ひ香さんの『図書館のお夜食』をご紹介します。

『図書館のお夜食』あらすじ

 夜の図書館とは?

 主人公の樋口乙葉はSNSのダイレクトメッセージで仕事を紹介を受けた。

 それが,夜の図書館で図書館員をすることだった。

 夜の図書館とは,小説家を中心とした作家の蔵書を,死後引き取って保管している図書館だ。

 図書館員は16時から出勤し,蔵書の状態確認や図書館のスタンプの押印,館内の見回りなど,言わずもがな本に関する仕事を行う。

 開館時間は19時から0時までと,たった5時間。さらに夜ということで利用者もそこまで多くはない。しかし,作家がこれまでどんな本を愛読し,どんな本に影響を受けたのかを知ることができる場所はとても貴重だ。そのため,作家が生前どのような本を読んでいたのかを知るために足繁く通う者もいる。

 昔から本が好きな乙葉は当時の仕事に悩んでいたこともあり,怪しみながらもZOOMでの面接を経て,夜の図書館で働くこととなった。

図書館員全員が本を愛しているわけではない?

 図書館員は,悩みを抱えています。

『図書館のお夜食』お夜食の要素とは?

カフェで出てくる料理の数々

 図書館員やお客さんが利用できる図書館カフェ。そこは図書館の中にあり,銀座の一等地でコーヒーを入れていた木下のドリップコーヒーが飲める場所だ。他にも賄いメニューとして食事も楽しむことができる

 しかし,その賄いメニューは食堂にありふれた普通の料理ではない。

 実際の小説や本に出てきた料理を賄いとして提供しているのだ。

 ではどんなメニューが出てきるのだろうか?

 例えば,井上靖の『しろばんば』に出てくるおぬい婆さんが作るライスカレー。

 『しろばんば』は,井上靖が幼少時代を過ごした静岡県の伊豆半島での様子を描いた自叙伝である。しろばんばとは雪虫のことであり,秋の夕暮れ時になればこの虫が飛び回る光景が見られたそうだ。

 今では主流のカレールーではなく,小さい缶に入ったカレー粉を使い,にんじんや大根を賽の目にして作られたカレーだ。『図書館のお夜食』では,牛缶の肉の代わりにコンビーフを入れるアレンジを加えている。

 想像するだけで食欲がそそられる。

 他には,L.M.モンゴメリの『赤毛のアン』からだ。

 赤毛と言われるのがとても大嫌いなアンが様々な出来事を経て成長する物語で,児童文学として日本でも有名な作品だ。

 そこに出てくる料理は,サンドイッチ。サンドイッチと言っても中身はパンとバターときゅうりだけ。少し味気ないような気がするが,空腹だったアンにとってはとても美味しい食事だったのだ。

 本作品では,やはり味気なさを補うためローストチキンを入れている。それを食べた図書館員からそのおいしさが感じることができた。

 他にも,様々な料理が出ているので,ここではその著書だけの紹介にし,あとは皆さん自身の目で確かめてほしい。

『図書館のお夜食』見どころは?

料理とともに本を味わうことができる

 カフェに出てくる食事は文字だけ見てもよだれが垂れるような料理ばかり。

 食事とは,人生を豊かにする要素の一つだが,物語もそう。自分が体験し得ないような経験を本はさせてくれる。

 その本からあえて料理だけ作品内に抽出することで,食事の豊かさと物語の魅力を同時に味わうことができる。舞台を図書館にしているからこそ,作品外の本や物語にも注目することができる。

 本が好きな作者から,読者へのささやかなプレゼントを送ってくれているように思えてならない!

人生は色々ある。選択肢も色々ある! 

 上記の通り,

 

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