「将来のために投資をしなきゃ」「早くFIREして仕事を辞めたい」……。
昨今、そんなSNSやメディアの声をよく聞くようになりました。書店に行ってみると、投資や資産形成、貯金などの本が特設コーナーにずらりと並んでいます。どこか「違和感」を覚えていませんか?
今回は、私たちが抱く「お金の不安」の正体を暴き、これからの生き方のヒントをくれる一冊、『お金の不安という幻想』(田内学 朝日新聞出版)をご紹介します。
こんな人におすすめ!
- 「投資をしないと将来詰む」という今の風潮に疲れている人
- 新NISAやインフレのニュースを見るたびに、焦りを感じてしまう人
- 仕事にやりがいはあるが、このまま働き続けていいのか不安な人
- お金の不安を「曖昧なまま」にせず、ロジカルに解消したい人
① 本や学者の概要
田内学さんはかのゴールドマンサックスに16年も勤務され、お金の向こう研究所の代表で、社会的金融教育家という肩書きをもっている、いわばお金のプロです!
本書は、経済の仕組みを「感情」や「心理」の側面から紐解くことで、私たちが無意識に抱えている不安を言語化してくれる一冊です。
「お金があれば幸せになれる」という一辺倒な考え方ではなく、「なぜ私たちは、いくら貯めても不安が消えないのか?」という根本的な問いに、マクロ経済と個人の心理の両面からアプローチしています。

私がこの本を知ったきっかけが、下のYoutubeに投稿されている動画です。
私自身投資をしています。新Nisaが導入されて3年目になろうとしているこの年で、あまりに世間の投資熱が強すぎて、投資は素晴らしい!という考えから一度立ち止まって考えたいと思った時に、ちょうどこちらの動画に出会い、この著書を詳しく読みたいと思ったのです。!

インフレが加速している昨今、投資をすることは間違い無いのですがその熱に浮かれてしまっていいのかという疑問も残ったのです・・・。
② 本書が注目された理由

今、この本が多くの人に読まれている背景には、現代特有の「焦燥感」があります。
- 止まらない物価高騰とインフレ: 「現金だけでは資産が目減りする」という恐怖。
- 過度な投資推奨: 国やメディアが挙って投資を勧めることで、逆に「やっていない自分は取り残される」という違和感。
- 「何かがおかしい」という直感: 投資の数字ばかりを追う生活に、虚しさを感じる人が増えた。
こうした状況の中で、多くの人が「何かしないといけない」と感じつつも、その不安の正体が曖昧なまま行動しているのが現実です。本書は、その曖昧な不安に対して「それは本当に現実的な危機なのか?それとも思い込みなのか?」という問いを投げかけます。
だからこそ、「不安の正体をしっかり理解したい」という人々の共感を集め、話題になったのです。

目の前の生活がどんどん苦しくなる中、どうすれば不安を解決するのか手段を考えるとともに、その不安の原因を見極めることが、手段を考えることに役立ちそうですね!
③ 投資は絶対にやっておくべきなのか?
昨今のトレンドである「FIRE(早期リタイア)」を目指す人々にとって、投資は必須のツールです。しかし、本書を読むと投資の多面性が見えてきます。
| 項目 | 投資のメリット | 投資のデメリット・リスク |
| 資産面 | 複利の効果で資産を効率よく増やせる | 元本割れのリスクがあり、精神的なストレスになる |
| 心理面 | 「将来の備え」があるという安心感 | 常に相場が気になり、今この瞬間を楽しめなくなる |
| 生活面 | 早期リタイアの可能性が広がる | 節約に走りすぎて、今の経験への投資を疎かにする |
投資をすることで実際にお金を増やすことができ、将来の備えをしていることの安心感が得られますが、株価暴落による元本割れのリスクも否定できません。リターンを得るには必ずリスクも許容しなくてはなりません。
実際のところ、短期の暴落は必ず回復する事実が過去の数字を見ても立証されているのではっきり言って問題ないのですが、ここでは投資の具体的な話は控えます。長期投資やインデックス投資等を詳しく知りたい方は、私がおすすめする2冊を読んでみてはいかがでしょうか?
図を見てわかるように、投資をすることで利益や安心を得られるかもしれませんが、ただやれば良いというわけではなく、投資を成功させるためには様々な本や資料で勉強して、お金や株の知識を増やさなくてはなりません。そのため、投資をするだけでは不安は解決しません。結論として、投資は「手段」であって「目的」ではないということ。FIREだけをゴールにすると、大切なものを見失う可能性があると本書は警鐘を鳴らしています。

投資というものはあくまで手段であることを念頭に置いていないと、投資をするためにお金を株に使ってしまい、投資貧乏を招きかねませんので、ご注意を!
④ 誰かが働いているから経済は回っている
本書の最も本質的なメッセージは、「経済の主役は、投資家ではなく『働く人』である」という点です。
- 社会の循環: 私たちが投資で利益を得られるのは、その裏で誰かが商品を開発し、サービスを提供し、汗を流して働いているからです。
- 働くことの価値: 誰かの役に立ち、対価を得る。この「社会の歯車」として機能することは、決してネガティブなことではなく、社会を支える誇り高い行為です。
- 実体経済への敬意: 投資だけでお金が増える魔法はありません。働く企業や人がいて初めて、投資の果実(利益)を受け取ることができるのです。
これらの視点に立つと、働くことは単なる“労働”ではなく、社会を回す重要な役割であると再認識できます。投資だけで生きていくという考え方もありますが、社会全体で見ると、誰かが働き続けているからこそ成り立っているのです。
⑤ 私見:FIREできる資産は作りつつ、歯車として生きる

この本を読んで、私の曖昧だった不安が理解できました。それは「投資をすることが、インフレを生き抜く絶対の方法というわけではない」ということです。世間の風潮はあたかも投資をしない人間は馬鹿だと言わんばかりです。はっきり言って投資を全く知らないことはよく無いことかもしれません。しかし、人によって現在の資産量は違いますし、そもそも投資など必要ないくらいの現金を持っているのかもしれません。だから、投資だけに捉われてはいけないのだと感じます。
私が至った結論はこうです。
「投資はする。でも働き続ける。」
FIREできるくらいの資産は作りたい。それによって人生の選択肢は確実に広がるからです。ただ、それと同時に「社会の歯車として働くこと」もやめない。なぜなら、働くこと自体に価値があり、それが社会を支えていると実感できたからです。
完全に仕事を手放すのではなく、“依存しない状態で働く”ことが理想なのではないかと感じました。
「FIREできるくらいの資産は作る。けれど、社会の歯車として働き続ける」
もちろん、経済的な自由(いつでも辞められる状態)を作ることは、人生の選択肢を広げるために大切です。しかし、社会との接点を絶ち、ただ消費するだけの存在になるのはどこか寂しい。「投資はスマートに行い、仕事は情熱を持って取り組む」。この両輪こそが、現代の不安を打ち消す最強の処方箋だと確信しました。
⑥ まとめ
『お金の不安という幻想』は、数字に支配されがちな私たちの目を、再び「人間らしい営み」へと向けさせてくれる良書です。
投資に振り回されず、自分の足で社会に立ち、価値を提供し続けること。その安心感こそが、どんな通帳の残高よりもあなたを強く支えてくれるはずです。
もし今、あなたが「お金のために生きている」と感じているなら、ぜひ手に取ってみてください。

