孤独な男の悲歌。独身ライン工が残す独身男性の生きた証『独身獄中記』

エッセイ

 人生において、結婚だけが幸せの理想ではない。結婚とは、他者の人生の責任を共に負うこと。そして、他者と人生の幸福を掴み取ること。一人よりも二人以上で幸せを目指した方が効率がいいかもしれない。愛する人間が寄り添ってくれることは、疲れ傷ついた心を癒し、これから歩む人生の岐路を示してくれるのだ。

 自分の人生に相入れない他者が紛れることで幸福度を下げることもある。「結婚は墓場」とはよく言ったものだ。しかし、この言葉を作った人間は自分の愚かさに気づいていない。何故なら、結婚を天国ではなく墓場にしているのは誰でもない自分自身であることに気づいていないのだから。日本において結婚願望をもつ独身が少なくなってきているとはいえ、歳を重ねるうちに考えも変化してくるものだ。高齢になればなるほど、愛する人が欲しいと思うだろう。

 だが、今日出会いの形は多種多様。その最たるものが「マッチングアプリ」。現実と虚構を織り交ぜた写真とプロフィールを公開し、異性との出会いを求めるサービスだ。一度は利用したことがある人ならわかると思うが、極論「数打たなきゃ当たらない」のだ。特に男性は、女性を吟味して指を左右に振る権利など持ち合わせてはいない。多くの女性に何百といいねを送ったとしても、マッチングが成立するのはごく少数(美男子はマッチング率が高いため参考にしない)。だから、出会いのきっかけが増えたとしても実際に出会うところまで漕ぎ着けるのは難しい。

 読者は、私の苦い実体験を伝えたいと思ってはいないか? そうではない。そんな結婚に彷徨える人間の軌跡を描いたエッセイが手元にあるのだ。それが、『独身獄中記』(KADOKAWA)。著者は絶望ライン工というYoutuber。音楽制作で生きていく夢を目指し、夢半ばで工場のライン工に転職し、紆余曲折を経てYoutubeで活躍している男性だ。

 読んでみた感想を一言で表すと「生々しい」。齢40を超え今なお愛する女性を探す苦悩、満足な職に就けてないないという絶望、著者の内面性を恥ずかしげもなく曝け出している。それは、著者の創造的な文章表現が相まってより伝わってくるのだ。文章がとてもうまい。流石元クリエイターの方だと感心した。

 それは、著者が苦しくももがき生きてきた人生があっての賜物だと思う。過去の経験があってこそ、Youtubeで成功し、本を出版するまでに至っている。だから人生は面白いし、可能性に満ちている。幸せとは、自分が思っていないような形で急に目の前に現れるものなのかもしれない。

 よければ、著書と著者のYoutubeを覗いてみてはいかがだろうか?

独身獄中記
独身獄中記

YouTube登録者数100万人超。「絶望ライン工」が綴る、絶望の中に微かに光る日常のユーモアと幸福。

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