旅で価値観が変わるのではない。旅先で出会う人によって変わるのだ。【エッセイ】

エッセイ

 旅・旅行で人生が大きく変わったという人を多く見かける。「自分探しの旅」と称して、住み慣れた土地をしばらく離れて、遠い地方や海外に行って素晴らしい景色や独特の文化に触れる。そうすることで、これまでの自分にはなかった新しい価値観が生まれ、人生がより豊かになる。旅をしなかったら気づかないことだった。だから旅は素晴らしい。

 確かにその通りではある。地元を離れずに同じコミュニティの人間と居続けると刺激が徐々に減っていく。人間の価値観なぞ簡単に変わるものではないのだから、特性をよく知る人間と関わり続けることに、人生の変化は生まれない。地元に残り続ける人間の生き方を否定しているわけではない。かくいう私も様々な経験を経て、住まいを地元に構えた一人なのだから。問題なのは、気づかないうちに人生が停滞してしまうことだ。変化の少ない生活は安定している。しかし、人生においての心を揺さぶるような刺激も減っていくものだ。だから世の夫婦は、新たな刺激を求めるために不倫を犯してしまうのだ。

 閑話休題。

 旅が人生を変える。それは間違いない。私がこれまで読んできた書籍にも旅に関するものを紹介している。その記事を読んでみても良いだろう。

 だが、忘れてはならない。人の価値観・人生観に変化を与えるのは人であるということを。

 その土地の素晴らしい景色に感動するのも一つの刺激だ。全く聞いたこともない文化や慣習に親しむのも刺激だ。それらは全て、その土地の人たちが築き上げてきたものなのだ。素晴らしい景色に出会うまでに舗装された道路、整えられた山道、山頂から見下ろす街の灯火。それらは自然に出来上がったのではない。地元住民がより良い暮らしのために意図して作ったものばかりだ。いうまでもなく文化もだ。

 だからこそ我々は旅を素晴らしいものだと思え、  

      その土地に住む人々に敬意を払うことができるのだ。

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