大切な人や知人の死を経験された方は少なくないと思います。長く生きていれば祖父祖母や恩師,家族等との別れに立ち会い,苦しんだことと思います。
自分自身が死を迎える立場になったら,世界の見え方,人生観は大きく変化します。しかしそれ以前に,ここまで健康体でいられることの幸せを常に実感しているかといえば,そうではないと思います。仕事に生活,毎日様々なことに追われて幸せが曇っていませんか。
そんな時にこの本を手にしました。

『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』著:小澤竹俊(アスコム)
人生の期限は常に迫っています。それがもし1年と決まっていたら,どのように生きるか見えてくるのではないでしょうか?
久しぶりの本レビュー,この一冊とさせていただきます。
本の概要
この本の著者は小澤竹俊(おざわたけとし)さん。

ホスピス医療に携わっていた方で,ホスピス医療という重病患者の心身の緩和ケアを専門とする医療を長く行われておりました。それは終末期医療にも通じており,患者の方がどのようにこの世を去るか,そんな準備も手伝うこともお仕事の一つだそうです。
そのお仕事をされていると,辛い病に苦しむ患者を多くみられてきました。ただ,その中に苦悩だけでなく幸福であったことにも改めて気づいていきます。そして,様々な事情を抱えた人たちがどのように人生を向き合ったのか,その記録を小澤さんの主観含めて見ることができます。
この本の魅力
この本は,ホスピス医療を受けている方に向けてというよりも,何の病ももたずに生きている人々に対して読まれるべきものとなっています。
これから人生の一秒一秒を大切に生きていくための言葉が,17個に分けられています。
その中で私が強く印象に残った言葉がこちらです。

「選択できる喜びはかけがえのないもの」
「今日は何を食べようか」「週末はどんな予定を立てようか」「どんな仕事が自分にとって幸福なのか」「誰と結婚したいか」
人生には多くの選択肢がありますが,死が迫っている人々には選択する時間が限られています。だから,選択したいことがあってもできないものもあるのです。

時間は有限です。その時間を我々は大切なことに使っているのでしょうか? そりゃあ,毎日強い志を掲げて過ごすことは疲れるでしょう。しかし,最良の人生を送るための選択はいろいろな場面であります。その時に,人生の指標となる志をもっていないと中途半端な選択をとってしまい,ただ時間を浪費するだけになりかねません。
選択できる時間があることそのものが幸せであることに気づくことも,また幸せなのです。
そのほかにも,人生に必要な言葉が17個もあります。その一つ一つの言葉に刺激を受け,人生を見直すきっかけを与えてくれる,そんな気づきそうで気づきづらい大切なことを知ることができます。
まとめ
これからの人生をより大切にしたい人,愛する人々と有意義に生きたい人にはとても重宝する一冊です。
当たり前は当たり前でなく,この限りある時間を享受し,今目の前の時間を精一杯生きていく。それこそ生きることの喜びであり,自身や大切な人の死期が近づいたとしても充実した人生を振り返ることができるのではないでしょうか。
どうぞこの一冊を手に取って,自分の人生を見つめ直してみましょう!