【本紹介】『生き方の哲学』丹波宇一郎 どんな時でも自分の思いに従って生きること。そんな当たり前で,でも忘れがちで,とても大切なことを教えてくれる一冊【伊藤忠商事】

ビジネス・経済

 皆さんは自己啓発本は読まれますか? 私は好きでよく読むのですが,読んだことでそれを語ってしまうような,俗にいう意識高い系にはなりたくないと思いつつ,たまにそういったジャンルの本をすすめようとしてしまうのはタチが悪いと自覚しております。

 その中でも,伊藤忠商事の方々の本というのは本当に経験と知見を豊富におもちで,年長者ということもあり説得力のある言葉が多いです。

 今回は,伊藤忠商事で会長を務めていた丹羽宇一郎(にわ ういちろう)さんが執筆された『生き方の哲学』(朝日新書 2022年9月30日発行)を紹介します。

伊藤忠商事・丹羽宇一郎とは

 一度は聞いたことがある大企業「伊藤忠商事」ですが,繊維や機械,様々なジャンルにビジネス展開している世界に誇る日本企業です。HPには下記のように掲載されています。

伊藤忠商事東京本部

伊藤忠商事株式会社は、1858年初代伊藤忠兵衛が麻布の行商で創業したことにはじまり、一世紀半にわたり成長を続けてまいりました。
現在は世界62ヶ国に約100の拠点を持つ大手総合商社として、繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料、住生活、情報、金融の各分野において国内、輸出入及び三国間取引を行うほか、国内外における事業投資など、幅広いビジネスを展開しております。(伊藤忠商事HP:https://www.itochu.co.jp/ja/about/profile/index.html)

 そして作者の丹羽宇一郎さんは,伊藤忠商事で会長・社長を務めた他,日本郵政で代表取締役も務めいた素晴らしいエリートサラリーマンの一人です。

写真掲載記事:https://dot.asahi.com/wa/2017092900013.html
丹羽 宇一郎(にわ ういちろう、1939年〈昭和14年〉1月29日 )は、日本の実業家である。伊藤忠商事会長・社長、日本郵政株式会社取締役、特定非営利活動法人国際連合世界食糧計画WFP協会会長などを歴任の後、2010年(平成22年)6月から2012年(平成24年)12月まで中華人民共和国駐箚特命全権大使を務め、同月から早稲田大学特命教授。日中友好協会会長。グローバルビジネス学会会長(2021年7月まで)。東京理科大学大学院経営学研究科技術経営専攻上席特任教授。(Wikipedia参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%B9%E7%BE%BD%E5%AE%87%E4%B8%80%E9%83%8E)

 そんな方が語る生き方とは一体どんなものなのか。私が感銘を受けた言葉をいくつかご紹介します。

八割は思想よりもお金を選ぶ

 人々は常に幸せを求めます。そして生活に豊かさを求めます。それはいついかなる時代も同じで,どんなに素晴らしい思想をもって働いていたとしても,無給で,何もかもボランティアで働こうとする人はいませんよね。

人間が豊かさを求める限り,豊かさを求める心が変わらない限り,成長,欲望,競争という資本主義の精神は永遠に続くのです。」(『生き方の哲学』朝日新書 丹羽宇一郎 p54より抜粋)

 「

 こうありますが,だからこそ皆お金を稼ぐことに貪欲で,必死に生きて,大きく成長しようとするのです。資本主義はお金持ちと貧乏人で社会格差を生むことでマイナスなイメージがあるように感じますが,決してそんなことはありません。資本主義の精神があるから成長を望み,その結果多くの国が豊かになってきたのです。無論今現在も貧困の差はありますが,大昔と比べてみてください。その日の食糧さえ必死に収穫していた縄文時代や,第二次世界大戦があった昭和初期と比べてみたら,人間世界はとんでもない発展を遂げているではありませんか。

 キリスト教の教えも資本主義を肯定しています。「隣人を愛せよ」という有名なイエスの言葉がありますが,周りの人を幸せにするためにものを買ったり,誰かに従事したりせよという意味も込められているらしく,資本主義は宗教から始まったといっても過言ではないのです。

自分の不運に感謝せよ

 あなたは不幸になるために生きていますか? もし「YES」と答えた人は,きっととんでもないマゾヒズムを内に秘めているかもしれませんよ。改めて言いますが,誰もが幸せになるために生きています。しかし,人生山あり谷あり。幸せなことよりも不幸なことの方が多いです。それは生きている以上誰にも降りかかることで回避不能な時もあるでしょう。そんな時,このように考えなさいと丹波さんは語っています。

「自分の不幸を喜べ」「自分の不運に感謝しろ」(『生き方の哲学』朝日新書 丹羽宇一郎 p201より抜粋)

 不幸や不運は一生続くわけではありません。長い人生で見ればほんの一瞬の出来事です。そんな不幸に出会ってしまったら,自分のせいと思えばいいのです。そして,人よりも何倍も努力して立ち直っていくのです。現に私も,仕事で上司のパワハラに耐えられず療養休暇をとったこともありますが,そのおかげで「こういう人間にはこのように考えればいいんだ」と思うようになり,新しい仕事をやろうというプラスな結果を生んでいました

 大切な人をなくす不幸とはまた違う話であることはご理解ください。この言葉は,あくまで自分自身だけの不幸とお考えくださいね。

毎日,いつでもどこでもベストを尽くせ

 生きていれば失敗もするし,休日をダラダラ過ごして「せっかくの休みを無駄にした!」なんて後悔することもあるでしょう。

「しかし,その判断,その行為は,その時々の自分のベストなんです。その都度その都度,自分が精一杯やった結果,「しまった!」と思うこともあるでしょう。でもそれはその時,その時の自分のベストの発言であり行為です。」(『生き方の哲学』朝日新書 丹羽宇一郎 p227より抜粋)

 

 この言葉を聞いた時,堕落した時間も,精一杯やったけどうまくいかず「もっとこうすればよかった」と思う後悔も,全て自分のベストを出した結果なのだと妙な納得を覚えました。

 人は知らぬうちにその時のベストを出して過ごしているのです。だからこそ,それを自覚して本当のベストを尽くしていけば,より豊かな人生を送れるのではないでしょうか?

まとめ

 今回は,私が感銘を受けた丹羽宇一郎さんの言葉を著書から抜粋した形で紹介しましたが,本の中にはもっとたくさんの素敵な言葉が語られています。それはあなた自身の心の栄養となり,人生に豊かさをもたらす考えに出会えることでしょう。1ページの文字数も,全体のページ数もそこまで多くないので,普段あまり読書をされない方・読書を敬遠しがちな方にもおすすめです。Amazonでも販売されているので,この機会に読んでみてはいかがでしょうか?

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